短編小説『発散』

「それ」が発見されたのは、つい最近になってのことだった。時のあゆみと共に発達した科学技術が、「それ」を見つけた。見つけてしまった。 「それ」は、スマートフォンの電池が切れた時、信号に間に合わなかった時、通信制限がかかったとき、意見の食い違い…

「生産性」という呪い

「生産性」という言葉は呪いだ。メリとハリの境界を濁す毒だ。寝ている時、YouTubeを眺めている時、散歩をしている時。「生産性がない」という焦燥感を抱いてしまうことがある。やるべき事はあるけれど、常にタスクを消化せねばならぬ訳では無い。それなのに…

僕らはきっと、後ろ向きにしか歩けない。

友人から面白いLINEが来た。 『君が時間軸の上に立ってるとする。目の前に未来が広がっていて、後ろに過去があると考えるのが普通だよね。でも日本語では過去のことを「前に~した」と言って、未来のことを「後で~する」と言わないかい?』 過去のことが「…

記憶に残すか、記録に残すか。

記憶に残すか、記録に残すか。 近代は科学技術の発展により、記録に残すことが容易になった。写真、動画、文字、絵…。今は様々な方法を通して、体験を保存できる形にプロセスすることができる。親愛なる友人はこれを「もののあはれを真空パック」という粋な…

恋愛って、花火みたい。

恋愛体質の私が、この前友人と話した内容を書き連ねます。短めです。 恋愛って、花火みたい。 打ち上げか、手持ちか、線香か、など。それぞれの恋愛の形次第だけど、どれも美しくて、派手で、儚い。 火は危険だ。怪我するかもしれない、火傷するかもしれない…